ところざわ倶楽部          投稿作品       エッセイ&オピニオン

 ≪一寸庵閑話≫  

    
The ancient pond/ A frog leaps in/
       The sound of the water


          
古池や蛙飛びこむ水の音
         
    
                                                      
2021 -9-18  記 ケン・シェイクスビア   

 

▼コロナ禍の中、サークル『葵の会』では『万葉集』を昨年から読んでいます。

  東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ   柿本人麻呂

 これから本歌取りしたのが  

 菜の花や月は東に日は西に  蕪村の俳句です。

 画家でもあった蕪村の雄大な構図が伺えます。

 柿本人麻呂は万葉集を代表する歌人で、万葉のおおらかさ、雄渾さを歌っています。

 近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ

 もののふのやそ宇治川の網代木にいさよふ浪の行方知らずも   


柿本人麻呂像 東京国立博物館



古池や蛙飛び込む水の音  

 芭蕉の有名な俳句で
1686年の芭蕉庵における作品です。いろいろな人が英訳していますが、

日本を愛し96歳で亡くなったドナルド・キーン(日本文学者)は 

 
The ancient pond / A frog leaps in  / The sound of the water  と英訳しています。

 ancient belonging to times that are long pastで、very oldの意味合いです。leap jumpより大きく飛ぶイメージのようです。訳者によっては frogsjumpedとしていますが、単数、現在形でしょうか。


▼『古池や』については次のような俳句があります。

  新池や蛙飛びこむ音も無し   良寛

   古池や芭蕉飛びこむ水の音   仙厓

 仙厓義梵(1750~1837)は、江戸時代の聖福寺の住職で、有名な『□△○』の墨絵や墨蹟があり、辞世の言葉は『死にとうない』で奔放な人生をおくりました。


「□△○」出光美術館蔵

 福岡・地下鉄の祇園駅から歩いて数分で聖福寺へ。城山三郎の『落日燃ゆ』の主人公・広田弘毅の菩提寺です。

 安国山聖福寺は日本最古の臨済宗の禅寺で、日本にお茶をもたらした栄西によって、開山されました。

 

    
聖福寺参道                聖福寺山門


 

 今年の7月 蝉時雨の聖福寺でよき時間をすごしました。境内のベンチで冷たいお茶を飲みながら・・・。   

安倍内閣、菅内閣は『言葉』をずっと破壊して来たことなど思いながら・・・。 
           (完)