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謎の天体 ブラックホールでノーベル物理学賞

                        2020-9-8 記 小嶋 一郎

   

ブラックホール観測成功の意義

 2019.4.10ブラックホールの観測成功はアインシュタインが一般相対性理論でその存在を予言した究極的の天体が約100年経ったいまようやく観測機器により観測に成功しました、素晴らしい成果です。これまではコンピューターシミュレーションによりブラックホールを画像化していたが、実画像を観測装置で観測した事です。
 

 これからは観測装置により銀河や宇宙の成り立ちを観測出来るようになるものと考えます。これは宇宙のいろいろの謎の解明に拍車がかかる事間違いないと考えます。

その観測の実現は世界8ヵ所の望遠鏡を組合わせて地球規模の電波望遠鏡を合成しての観測でこの望遠鏡の直径約10,000km、観測波長1.3mmで「視力300万」を実現(ハップル宇宙望遠鏡は約1500)したものです。

 これに日本の技術が生かされていた事を併せ紹介します。


 2020年度ノーベル物理学賞にブラックホールの研究で英独米の研究者3人となった。

▽イギリス・オックスフォード大学のロジャー・ペンローズ氏20世紀最大の物理学者と言わ れたアインシュタインの一般相対性理論によって、ブラックホールの形成を証明したことが 評価された。

▽ドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所のラインハルト・ゲンツェル氏、アメリカ ・カリフォルニア大学のアンドレア・ゲッズ:ゲンツェル氏とゲッズ氏の両名は、宇宙の観 測技術を発達させ、私たちの銀河の中心部にあると見られていた、太陽のおよそ400万倍の 質量の超巨大ブラックホールの存在を明らかにしたことが評価された。

謎の天体 ブラックホール
 ブラックホールは極めて強い重力で、光や電波を吸い込むため、観測することが困難で、成り立ちや進化の過程など、最も謎の多い天体です。大きさに対して非常に重い天体で、質量が太陽と同じブラックホールがあった場合、直径はおよそ6キロメートルになるとされています。

 ブラックホールがつくられる仕組みは大きな恒星が死を迎えた時に、みずからの重力に押しつぶされてブラックホールになると考えられていますが、宇宙には質量が太陽の100万倍から100億倍という超巨大ブラックホールがあることも知られていて、それらがどのようにできたのかは解明されていません。

 また、ブラックホールは多くの銀河の中心にあるとされ、星の材料となるガスやちりを強い重力で引き付けながら膨大なエネルギーを生み出していることから、銀河や宇宙の成り立ちにも深く関わっていると考えられています。

 今回、ブラックホールを直接観測する道が開かれたことでこうした謎の解明につながることが期待されています。



研究成果の意義は

記者会見で国際研究グループのメンバーで国立天文台の秦和弘助教は今回の成果の意義を解説しました。

 この中で秦助教は、「研究成果の意義は2つあり、1つ目はブラックホールの存在と、『時空の歪み』を目で見て視覚的に捉えたことです。アインシュタインが一般相対性理論を唱えて強い重力があると時空がゆがむことを提言して100年がたったいま、その現場を視覚的に捉えることができました。もう1つが天文学的な側面の成果で、『活動銀河中心核』と呼ばれる、宇宙で最も明るく輝く天体の正体を解明したことです。これまで正体については周辺の間接的な現象から巨大ブラックホールだと信じるしかありませんでした。しかし、今回の観測によってブラックホールがその正体であることが決定的になりました」と話しました。


観測と挑戦の歴史

ブラックホールの存在は、100年余り前、アインシュタインが発表した「一般相対性理論」をもとに予言されました。
 星などの膨大な質量がごく狭い範囲に圧縮されると、極めて強い重力によって光すら逃れられなくなることが理論的に導かれたのです。

 しかし、実際の観測では長い間見つからず、ブラックホールとされる天体が初めて見つかったのは50年以上たった1971年でした。

 アメリカのX線観測衛星による観測で、温度が非常に高く、質量が太陽の10倍という天体が見つかり、周囲のガスなどを高速で吸い込んでいるブラックホールだと考えられたのです。

 その後、非常に遠くにありながら明るく輝いて見える天体には、エネルギー源としてブラックホールがあるとされるなど、候補と考えられる天体が次々に観測されるようになりました。

 しかし、どうしても見ることができなかったのが、黒い穴のように見える「ブラックホールの影」の部分、地球から遠くにあるブラックホールはこれまでの望遠鏡で観測するには限界があったためです。

以上。