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ウサギのトリビア (その2)
                                                      
                                                   

                                    2018-05-04 
 記 玉上佳彦



 私は昨年の9月に「ウサギのトリビア」という拙文で、我が家のウサギの世界を紹介したが、その続編として、あまり知られていないウサギの世界を(その2)として紹介させていただきたい。尚、最初の2枚の写真は、我が家の現在の2羽のウサギが自身のケージの中でくつろいでいる姿だが、その他の写真は画面を飾るための「賑やかし」として、我が家に沢山あるウサギグッズの中の一部を紹介するものであり、呆れながら見た上で、無視していただきたい。

1.ウサギは不器用

ウサギは高く飛び跳ねるための強い後ろ足を持っているが、前足(手)は物を掴むことすらできない不器用な動物であることをご存知だろうか。ウサギによく似たネズミ、リス、ハムスターなどのげっ歯類の小動物は、非常に器用に前足(手)を使って餌を掴む事ができる。しかし、実はウサギは手を使うことができないのだ。人間の子どもがミトンの手袋でものをつかもうとする状態を想像してみてほしい。ウサギの手はそれよりも不器用なのだ。ウサギにとって、主食の野草や枯れ草などを食べるためには、手で掴む必要がなかったのかもしれないが、手が使えない我が家の不器用なウサギを見ていると、イライラしてくる。「少しは進化しろ!」といいたい気持ちだ。
 

2.ウサギは寒さにも弱い

前述の拙文では、「ウサギは暑さに弱い」と報告したが、実は家で飼っているウサギは非常に寒がりなのだ。我が家の居間の暖房は、基本的に床に置いてあるガスストーブを使用しているが、冬にガスストーブに点火すると、ウサギ達はストーブの前に寄ってきて暖をとることが多くなっている。ウサギは毛皮をまとっているので、寒さには強いと思っていたが、家で飼うようになったペットウサギは軟弱物となってしまったようだ。我が家の若いウサギ「ヒジキ」は特に寒がりで、背中の毛が焦げていることにも気が付かないほど、ストーブに近づいている。背中の一部分の毛が焦げて、ハリネズミの背中のようになっているが、本人は全く気にしていないようだ。厳しい寒さに耐えている野生ウサギを見習えといいたい。

    
ナス(12歳♂)             ヒジキ(6歳♂)
  

3.ウサギの爪

ウサギの指は、前足が5本、後ろ足が4本となっている。ネズミなどのげっ歯類や猫と同じく、爪は放っておくと伸び放題となり、絨毯などに引っ掛けて爪が折れることがよくある。そのため、定期的に爪切りをしてやる必要があるが、おとなしく爪を切らせてくれるわけではない。2人かかりで押さえつけて爪切りをするのが一苦労だ。我が家に現在いる2羽のウサギは、最近はおとなしくなってきたが、我が家に来た当初は、家具や壁紙などそこら中を齧りまくり、爪で引っ掻いていたため、居間は傷だらけである。恥ずかしくて、客人に見せられない状態となっている。 

4.ウサギは清潔好き?

ウサギは1日に数回不器用な前足(ミトン風の手)を使って、顔や耳を一生懸命に毛づくろいしている。洗顔をしているつもりだろうが、その姿が極めて可愛い。この様子を動画撮影しようとすると、雰囲気を察知して止めてしまうので、なかなか皆さんにお見せできない。以下のYouTube(よそのウサギ)でそのさわりを見ていただきたい。

      

5.ウサギは猪突猛進

昨年の拙文で紹介したが、ウサギの瞬発力は素晴らしい。天敵から逃れるために身につけた技だと思うが、まっすぐに飛び出して猛進するイノシシのような走り方をする。家で飼っているウサギも同様で、天敵(私?)が近づくとまっすぐ飛び出して来る。場合によっては、私の足に直撃されることがある。気をつけなければ、蹴っ飛ばしかねないのである。 


6.ウサギに目は後も見える、耳は誰の足音かを探知できる?

  我が家のウサギは、私にはなつかない。私が後から近づくと、察知して逃げてしまう。我が家の家長?なのに、天敵と思われており、大変失礼なことだ。2階から階段を降りてくる足音で、誰かが判るようで、娘と私の足音の違いを判断できるようだ。 


    


7.ウサギは鳴かない、吠えないからおとなしい?

  ウサギには鳴き声や吠え声を出す機能を有していない。進化の過程でその必要がなかったのかもしれないが、天敵を察知したら、ただひたすら逃げるしかない動物である。しかし、ウサギにも怒りを表現する方法がある。それは、後ろ足で地面を蹴って、ダンと音を出して、怒っていることを表現しているようだ。ペットウサギのように家で飼われているウサギの場合は、床を蹴ってかなりの威嚇効果があり、ビックリする。しかし、草原に住んでいる野生ウサギが草地を蹴っ飛ばしても、大して音が出ないので、あまり効果がないだろう。ウサギのダンは、おそらく、野生ウサギが天敵から逃げるための勢いづけのような動作で、陸上選手のスターターブロック的な意味があるのではないかと、勝手に理解している。

    


8.ウサギは夜行性?  

 ウサギは基本的に夜行性といわれている。しかし、ペットウサギは昼も夜も眠いようで、いつも寝ている。但し、すぐ に目が覚める極めて浅い眠りのようだ。しかし、我が家の若いウサギ「ヒジキ」は、いびきをかいてぐっすり寝ているこ ともある。夜は起きているかと思いきや、私が寝る頃の夜中の12時前後に覗くとぐっすり寝ている場合が多い。しかし 朝見ると、しっかり餌を食べ、水も飲んでいるので、夜行性の習性も少しは残っているようだ。   
  最近のニュースで見たのだが、ニュージーランドでは増えすぎた野生ウサギが、夜間に畑を荒らしまくっているため、 やむを得ず、ウサギにしか感染しない細菌で駆除しているという。夜行性の野ウサギ駆除にはこのような方法しかないの だろうが、ペットウサギのように大事に飼育されているウサギと比べると、なんとも可愛そうである。


9.ウサギのうんこは2種類

 ウサギのうんこは乾いてコロコロしたもの(硬糞)と、軟らかい(軟糞)の2種類がある。体調の良い時はコロコロの うんこが普通だが、たまにべたっとした軟糞をすることがある。ウサギはネズミやハムスターなどと同じく糞食動物であ る。繊維質の多い草食飼料を主食としている場合、栄養分が十分に吸収できないために、未消化の栄養成分(主にビタミ ンB12)を含む糞を食べるという習性を有しているのだという。室内に放置されているウサギの軟糞を踏んづけてしまう とことがある。すぐに気がついてスリッパの裏を拭き取ればいいのだが、知らずに歩き回っていると、床のあちこちに跡 が残ってしまう。気をつけなければならない。

10.最近のペットショップ事情

  最近のペットショップを覗くと、ウサギが人気になっている。ウサギは鳴かないおとなしい動物であり、糞や尿もあまり匂いがしないために、家の中で飼うのが楽なペットなので、特にマンション住まいの若い女性に人気があるようだ。最近のペットショップでは、耳がピンと立ったウサギではなく、たれ耳のウサギが人気らしい。我が家のウサギは、学校ウサギや人からもらったウサギなので、耳はたれていない。たれ耳ウサギは、あまりウサギらしくないので、好きになれないが、最近のペットショップでの売れ筋はたれ耳ウサギらしい。高級なたれ耳ウサギは数万円もするという。
 ちなみに、ウサギを飼うための費用は、飼育用ケージ、餌、おやつ、ペットシーツ、吸水ペレットなどの費用がかかるが、皆さんのお孫さんたちにかかる費用よりもあるかにローコストであることを報告した。

    

11.ウサギは実験動物

  一般的に医学・薬学分野では、ウサギは実験動物としてあつかわれている。ヒトを対象にした臨床試験の前に、薬理試験や安全性確認試験においては、ラット・マウスを使った実験の次に、ウサギを使うことがある。ウサギの次の段階では犬、猿、豚などを実験動物として使うのだが、ウサギによる動物実験は結構重要な試験だという。
 参考までに、ウサギを実験動物として使った有名なロシアの実験を以下に紹介したい。1913年に、ロシアの病理学者ニコライ・アニチコワが、ウサギに卵のコレステロールを与えた実験で、血管にコレステロールが付着して、動脈硬化が起こったということで、卵のコレステロールが動脈硬化の原因という論文を発表した。しかし、その後の研究で、草食動物のウサギにコレステロールを摂取させることは全く意味のない実験であるということがわかってきた。最近のアメリカを中心にしたコレステロールの研究では、卵のコレステロールが直接血液に移行して動脈硬化を起こすことはないということが証明されている。
 機会があれば、卵を摂取しても、直接血中コレステロール値が高くなるわけではなく、卵をたくさん食べても大丈夫であることを報告したいと思っている。卵大好き人間の私は、毎日3~4個ほど食べているが、私の血中コレステロール値は、平均よりかなり低い。安心して卵を食してほしいと思っている。

                                                   以上