ところざわ倶楽部          投稿作品     エッセイ&オピニオン


東日本大震災リポート  通巻№31

あの日から丸6年の日に・・・

                                                      
                                   2017 04 -10     
記 松岡 幸雄



 2017311は、あの日から「7回忌」を迎え、仏教でいう年忌法要の一つで、故人を供養する

法要があり、私はボランティアとして初めて参列しました。テン
ト10張などの会場設営・運営・翌

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日の撤去片付け等で大変疲れました。


                    ★

 ツナミなどで亡くなられた方・未だに行方不明の方・関連死された方を合わせると、なんと約2

2
千人以上になります。今もまだ心が癒されることのないご家族の
方々をはじめ友人・知人・・・大

変な数になりますが、その方々のことを考えますと今でも心が痛むのは私だけではありません。被災

者のつらい気持ちに寄り添いたい、
と思いつづけてきました。


     ★ しめやかに「復興慰霊祭」

 311日、あの大震災で最も多くの死者を出した宮城県石巻市では、どこに居ても聞こえる防災無

線の放送で、朝から何度も繰り返し全市民に呼びかけがありまし
た。「今日は東日本大震災が起こっ

6年になります。午後246分になりましたら、放送を合図に、亡くなられた方々のご冥福を祈る

ようご協力をお願いいたします」という主旨の放送がはっきり聞こえました。市民の皆さんが息を潜

めて静かにその時を待っているようで、私はとても厳粛な雰囲気を強く感じました。


 この6年間に何度もお世話になっている市内湊町にある松巌寺では、いつでも誰でも打ち鳴らせる

大きな鐘が吊るされていて、その音は、沈んだ重々しさの中に心からの鎮魂の念を強く感じるもので

した。市内全域に響き渡る放送に合せての黙祷・合掌、そして焼香。本堂前に集まった多くの皆さん

が手にした色鮮やかな風船を、澄み切った青空に一斉に放ちました。未だに冷たい海の底に沈んだま

まの方や大空の上から私たちを見つめている方々に向かって「私たちは元気にしてるから、心配しな

いで下さいね」と心の中で呼びかけました。私も言葉に表せない思いがグッと込み上げてきました。




  

心ひとつに願いを込めてバルーンリリース

      ★ 賑やかに歌・踊り・マジック

 歌手の松山千春が、松巌寺本堂裏の広場に作られたステージに突然現れて、伸びやかな透き通った

声で数曲を歌い始めました。近くの市民と多くの被災者や我々ボランティア40名を励ますため笑い

を含めたスピーチで会場を沸かし、さすがプロです。続いて、ソロの女性シンガーや小中学生の男女

の踊りなどで大いに盛り上がりました。しかし夕暮れ時の10分程、雨・かぜ・ミゾレが急に降り出

し、あの6年前と同じ寒い夜が再現したようでした。

 それにもめげずテントの中の被災者などに向かって私はマジックを披露しましたが、とっても寒い

中にも関わらず真剣に聞いて見てくれて、そして大声で笑い転げて
いるのを目にして、「今日のこの

日に、この場所に、来てよかった」と強く感じました。

      ★ 「心の復興」はまだまだです

 私から最も申し上げたいことは、この大震災から多くのことを学び「明日は我が身」と受け止め

て関心を持ち続けてほしいことです。最近、テレビで被災に関するCGの放送がありますが、あれは

「警報・警告」です。(つづく)