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神無月朔日の金木犀 

2016‐10‐01  投稿者 仲山 富夫


 
 友人宅におじゃまして昼食をいただいた。

 帰り道、ほろ酔い気分で、近道しようと入った小さな公園の片隅に汚れたサッカーボールが一つ転がっていた。な

つかしい風景だ。誰もいない初秋の公園、「おや、いい匂いだ」金木犀だ。こんもりと小高木が2本在った。まある

く剪定された深緑の葉々のなかに、黄色いかわいい小さなだんごと見まがう花がたくさん抱きついていた。「公園が

香っている」

   



 子犬を連れたご婦人が立ち止まって私を眺めていた。

 話しかけないでくださいね。赤い顔をしてますので、否、昔、犬に咬まれたことがあるのでこわいのですよ…。

 犬が近づいてきた。こらこら酔いが醒めるよ。


    


 薄暮の迫る駅へ降り立って、「友に感謝、今日も一日ご苦労さん」



           
神無月朔日の金木犀  仲山 富夫