民話の会 民話紹介コーナー
           
                            <民話のページに戻る>

7.カヤ湯

        
 



旧島田家住宅(三芳町)前の井戸の案内板に掲示されているカヤ湯の絵写真

 

 

       
  むかしむかし所沢は水の不便な土地でした。
ある暑い夏の日のことでした。上富の多福寺の近くのあるお百姓の家に商人が立ち寄り
「少
し休ませてくださらんか」と声をかけました。
遠方から歩き続けてきたらしく、大変疲れた
様子でのどもかわいているようでした。
お百姓は「お暑いなか大変ですのう、さあどうぞど
うぞ入ってお休みなんしょ」と、
家の中へ招いてくれました。


       
  お百姓は「何もねえが、まあ水でも一杯あがりなせい」と言って、とっても冷たい水を
持ってきてくれました。

「これはありがたい… 甘露 甘露、うまいうまい」 と言って一気に飲み干しました。

 

       
  商人は、汗をふきふき、ふと奥の方の土間を見ると、百姓がカヤで体を拭いていました。 たずねると「ここらは台地で水が少ないので、朝はカヤで汗を拭き、垢を落とすんです」と言いました。
毎日、遠くの川まで何度も水を汲みに行くのが重要な仕事でした。
お百姓が出してくれた水は、大事に大事にしておいた水だったのです。
商人は、ただただ頭の下がる思いでいっぱいでした。
       
 




チガヤ